「魔法のザクロ」:ユダヤ教の聖典タルムード

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「魔法のザクロ」

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はじめに

あるところに仲良しの3人兄弟が住んでいました。

大人になったある日、3人はこんな誓いを交わして旅にでることにしました。

「世界各地を旅をして、各々が自分の見つけたいちばん不思議なものを持ち寄ろう。」

そうして兄弟は、ひとりは東に、ひとりは西に、ひとりは南に旅立ちました。

不思議なガラスのコップ

1番上の兄は東に向かい、ある旅人から世界の隅々を見渡せる不思議なコップ手に入れます。

このコップから覗き込むと、本当に世界の隅々まで余すことなく見渡せるのです。

長兄はこれこそが世界でいちばん不思議なものに違いないと確信しました。

空飛ぶ絨毯

2番目の兄は西に向かい、ある町で絨毯売りに出会います。

絨毯売りに「これはいくらだ?」と指を差すと、なんと絨毯が勝手に動き出しました。

大変驚いて、理由を尋ねると、

「この絨毯は生きており、空高く飛んで、鳥よりも速く移動することができます。」

2番目の兄は、この空飛ぶ絨毯こそが世界でいちばん不思議なものに違いないと確信しました。

魔法のザクロ

1番下の弟は南に向かい、不思議な森に迷いこみます。

どんどん進んでいくと、1本の不思議なザクロの木が立っていました。

そのザクロの木には、花はたくさんあるのに実はひとつしかありません。

真っ赤に熟れたザクロの実を取ろうと手を差し出すと、

その実が手のひらにぽたっと落ちて、不思議な木は消えてしまいました。

1番下の弟はこの魔法のザクロこそ、最も不思議なものだと確信しました。

ある国のお姫様

その後再開した兄弟たちは、各地から持ち帰った不思議なもの互いに見せ合いました。

世界の隅々まで見渡せるガラスのコップをみると、

なんとある国のお姫様が重病で寝込んでいる姿が映り込みました。

ベッドの傍では、王様がこう嘆いています。

「どんな医者に頼んでも娘は一向に回復しない。誰か治せるものはいないのか。」

これを聞いた3人は、空飛ぶ絨毯でお姫様のもとへ飛んで行きました。

そして1番下の弟は、これを食べればよくなるに違いないと

自分の持っていた魔法のザクロを半分に割り、お姫様に差し出しました。

それを一口、二口食べるとみるみるうちに、お姫様は回復しました。

王様は感激して、兄弟たちにこう申し渡した。

「お前たちのおかげで姫は重病から回復した、兄弟の誰でも姫と結婚しても良い。」

さて、お姫様はだれを結婚相手に選んだのでしょうか?

お姫様はだれを選んだのか       

ここから物語は、こう続きます。

すると、お姫様が「少し質問させてください」と言います。

まずは1番上の兄に尋ねます。

姫「あなたは世界を見渡せる望遠鏡のようなコップで、私の重病を発見してくれました。

その不思議なコップは、今でも元のままですか?」

1番上の兄「はい、全く元のままです。」

姫「2番目のお兄様、あなたは空飛ぶ絨毯で私の元へいち早く駆けつけてくれました。

その不思議な絨毯は、今でも元のままですか?」

2番目の兄「はい、全く元のままです。」

姫「3番目の弟、あなたは私に魔法のザクロの実を食べさせて病気を治してくれました

その不思議なザクロの実は、今でも元のままですか?」

3番目の弟「いいえ。お姫様に差し上げたので、今は半分しかありません。」

そこでお姫様は高らかに宣言します。

「私は3番目の弟と結婚します。彼は私のために大切なザクロを半分失ったのですから。」

最後に

この物語の肝は『ノーペイン・ノーゲイン-犠牲なくして成功なし-』ということです。

  1. 不思議なコップ:問題を察知する力に優れたもの
  2. 空飛ぶ絨毯:問題に対してすぐに動ける力に優れたもの
  3. 魔法のザクロ:問題を解決する力に優れたもの

そのどれでもなく、「お姫様が最後に選んだ=成功を手にすることができた」のは、

自分の大切なものを犠牲にすることができるものであるということです。

『大切なものを失わなければ、何も得られない。』

これこそがユダヤ人が大切にしている、物事の大原則ということです。

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